オリジナルクラフトビール&ジンで地域に密着

オリジナルクラフトビール&ジンで地域に密着

ブルーラウンジ市ヶ谷 オーナーシェフ 宮 智彦さん

 

♢どうして市ヶ谷にクラフトビールのお店を?

グループ会社でクラフトビールの醸造会社に出資していたことや、グループ会社の近隣エリアということもあり、2019年の12月に市ヶ谷に出店しました。市ヶ谷は閑静な場所で十分な空間もあるため、当店自慢の美味しい料理と味わい深いクラフトビールやクラフトジン、ワインなどをゆったりとお楽しみいただけるかと思います。以前は他のお店で働いていましたが、クラフトビールと相性の良いイタリアン一筋二十年の私にお声をかけていただき、現在はこちらで代表をしています。ずっと自分のお店を持ちたかったので夢が叶いましたが、オープン後すぐにコロナが流行し、激動の年となりました。

↑タップから注がれる自社製造のクラフトビールは絶品

 

♢料理の道に進んだきっかけは?

高校生の頃のアルバイトです。高校一年生の夏休みに、近くのファミレスに接客がしたくて応募しましたが、ウェイターはもう締め切った後でした。なんでもやりますって言ったら、厨房に入ってくれって言われて。その時入った場所が「パスタ場」と言って、パスタを永遠に作る場所だったんです(笑)
そのファミレスが結構ちゃんとしていたんですよね。本部の料理長たちが来て実際に作り方を教えてくれたのが勉強になりました。オリーブオイルにニンニクを入れて、香りが立ってきたらトマトを入れてバジリコを入れて、トマトソースを入れましょうみたいな。最初は鍋なんか全然振れないところからだったので、フライパンの振り方も教えてもらいました。その頃は、週末の一番忙しい時間帯の厨房を、私を含む高校生のアルバイト二人がメインで任されていました。ファミレスってすごいですよね。全部ちゃんとしたマニュアルがあった上でできることですからね。
高校一、二年の頃は部活もやらずにずっとファミレスでバイトをしていました。楽しいし、自分で働いたお金がもらえて嬉しいですしね。自分が担当するメニューの注文が入ると厨房に伝票が出てくるんですけれど、その場で取らないでずっと伸ばすんですよ。それで、バイト終わりに他のバイトと伝票の長さを競い合うのに夢中でした。単純ですよね(笑)

 

♢高校卒業後は?

高校を卒業してからも、フリーターとして三年ぐらいそのファミレスで働きました。そして調理師免許も取り、最初はそのファミレスで社員をやらないかと声をかけてもらいましたが、ちゃんとした料理がやってみたくて二十一歳の頃にイタリアンのお店に就職しました。

 

♢料理の世界は厳しいイメージがあります。

最初の三ヶ月は辞めてやるって思いました。労働時間が十時から夜中の十二時とかまでで、ティータイムも営業していたので中抜けの時間がないんですよね。ティータイム中も仕込みがあるし、休憩も全然取れなくて。でもその時はすごくポジティブに考えられていて、少ない休憩時間でさえ自分は仕込みをやっていました。私は二十一歳で入ったので、アルバイトが年下の大学生なんですよね。でも店ではあちらが先輩なので、最初は下に見られるわけです。それを笑って済ませながらも、絶対抜かしてやると心の中では思っていました。正社員の同期も四人いたのですが、その中でも負けたくなかったですね。あの頃は若かったんです。

↑修行時代の宮さん(右)

 

♢その年でお店を切り盛りするって、プレッシャーもありますよね。

私が入ってすぐに、お店の二番手の方が辞めてしまいました。そのせいもあって、やらざるを得なかったという感じでした。でも、スーパーポジティブシンキングだったので(笑)結局その一年で同期はみんな辞めてしまい、残ったのは自分だけでした。
そうかと言って、自分が経験したような働き方を今の子たちにやらせるかと言われたら、やらせたくないですね。あの辛さは、今の子たちは絶対耐えられないと思いますし、それをやったからどうだっていうのもないです。自分としては経験として捉えていますけれど、絶対やれというわけではないと思います。

 

♢取材していると、同じことをおっしゃる飲食店の方が多いです。

飲食業界も変わってきていますよ。うちも社員やスタッフにとって良い職場環境にしてあげたいと常々思っています。今はきちんとした環境にしないと人が来ないし、すぐ辞めてしまいますからね。今の子たちは料理の技術を学ぶという前に、週何回休みですかとか労働時間教えてくださいとか、そういう質問をしっかりしてきますよね。それは正当な意見で、働き手としては気にして当然ですよね。

 

♢お店で出している料理のこだわりは?

お店の売りである「クラフトビール」や「クラフトジン」に合う料理を作ることにこだわっています。メニューはどれもオリジナルですよ。例えば「肝バターソテー」は、醤油漬けの肝とアンチョビとバターでスルメイカとエリンギ炒めて絡め、醤油とバルサミコ酢をちょっと入れて香りを出しています。イタリアンでは醤油は使いませんが、実は隠し味に入れると美味いんですよ。お酒のつまみにぴったりです。ビールも味がしっかりしたものを出しているので、それに負けない料理というイメージで作っています。
今まで色々なお店で働いてきたのが、メニュー作りに役立っていますね。私はイタリアンのレストランで何店舗か働いた後、ワインバルの居酒屋でも働いていたんです。合わせると、レストランで十年、バルで九年ですね。料理のベースはどちらもイタリアンですが、バルの時はアヒージョやピンチョスなど、スペインバルのようなメニューも取り入れていました。もし料理経験の順番が逆だったら、多分こういうことはできなかったですね。最初にレストランでしっかりとしたイタリアンを勉強していたので、その後バルのスタイルに崩すことができた。今はもう自分の店なので、自分が美味しいと思うものを自由に作っています。

 

♢クラフトビールの名前に「市ヶ谷」「番町」「九段」など千代田区の地名が入っていて、地域愛を感じます。

地域の名前をつける事で、近所の方にも愛着が湧くようなビールにしたかったんです。ペールエールがうちで一番飲んでいただきたいビールなので、店の名前も「ブルーラウンジ市ヶ谷」ですし、「市ヶ谷ペールエール」にしました。

 

♢クラフトジンはどうして作ることになったのですか?

ある日、クラフトビールを作る工場の職人さんが、「作り手の想いやこだわりが強く反映されたクラフトジンがトレンドになってくるかもしれない。作ってみたい」とおっしゃったことがきっかけです。うちにあるのは、「桜」と「檜」という名前のクラフトジンです。日本人にとって慣れ親しんだ味と香りがして、本当に美味しいですよ。
ジンが好きな方は、香りを楽しみたいからストレートでちょうだいとおっしゃいますね。私はそれまであまりジンは飲まなかったのですが、「桜」は最初飲んだ時に、これまで知っていたジンと味が全く違うので驚きました。桜が入っているので、桜餅みたいな風味もします。飲み方としては、香りがしっかりと楽しめるストレートかソーダ割りがおすすめです。また、プレーンのクラフトジンに約十種類から選べる自分の好みのフレーバーを入れて、世界で一つしかない自分だけのクラフトジンをつくることもできます。例えば、少し変わったチャイ風のジンやカレー風味のジンなどもつくれますよ。ジン好きのお客様も面白かったと喜んでくれました。なかなか他ではこんな飲み比べはできないと思います。

 

♢これからチャレンジしたいことは?

やりたかったことが中々できなかった一年でした。お店を一人でやっていると、考えが窮屈になり偏りがちになるかもしれません。それでも、羽田ビールの職人さんやグループ会社の人たちがいて、自分一人でやっているわけではないと感じています。うちは私がオーナーですけれど、周りの人が助けてくれたり、アイディアを出してくれたりするので、みんなの発想も借りて頑張っていきたいです。

 

♢地域に密着したお店になっていきそうですね。

ぜひそうしたいですね。昼は近隣の方が常連さんになってくれるようになりました。公式LINEでお店の予約もできるので、それで常連さんの名前を覚えたりしています。この一年、コロナが明けるまで何もしないでただ待っているというより、出来ることをひたすらやってきました。そしてようやく撒いてきた種が、少しずつ繋がってきているのかなと思います。今回の取材もご縁でいただいたお話でしたしね!

 

♢お客様の名前まで覚えてくれる、そんな距離感が良いですね。

本当はもっとお客様とコミュニケーションを取りたいのですが、私は厨房にいるので中々難しい。だからお客様にLINEを登録していただいて、そこで食事やテイクアウトの予約などをしてくださると、私はそれを見ているので、お客さんが来たときに話のタネにできたりするんですよ。LINEで「今日はありがとうございました」と返すと、皆さん「ごちそうさまでした、また来ます」という感じで返ってくるのが嬉しいですね。

↑広々とした店内が印象的

 

♢最後に、地域の方へのメッセージをいただけますか。

自社で作ったクラフトビールを飲めるところは少なく、東京都ではわりと珍しいと思います。お店ではグラスのサイズごとにビールの種類に関係なく価格を一定にしています。それも自社ビールだからこそできることですよね。料理もしっかり食べられますし、二次会でちょっとしたおつまみも出せますし、ワインもあります。カウンターもあるのでお一人でも来ていただけると思います。テーブルも個室もあって、テレビもあるのでスポーツ観戦もできますよ。当店はお客様ファーストでなんでも対応できますので、お気軽に来ていただければと思います。千代田区の近隣の方たちに、是非来ていただきたいです!

 

取材にご協力いただき、ありがとうございました!

 

市ヶ谷駅から徒歩3分
自家醸造クラフトビール&イタリアン
Brew lounge 市ヶ谷(ブルーラウンジ)


千代田区九段北4丁目3−6
定休日:日曜日、祝日
詳しくはホームページをチェック!