「ebook japan」を運営するイーブック イニシアティブ ジャパン

品揃え世界最大級のマンガ・電子書籍販売サイト「ebook japan」を運営するイーブック イニシアティブ ジャパンさんに、話を伺った。写真は、左から、辻様、安達様、高橋様。

どんな会社?

— 御社の事業内容を教えてください。

当社は、2000年の創業から電子書籍に関する事業を一貫してやっている会社です。電子書籍の会社はいくつか上場しているところがあるのですが、その中でも当社は老舗の会社になります。事業は大きく分けて二つあります。一つは創業当初からやってきた、出版社さんなどから電子の書籍を仕入れて一般の皆さんに販売をする書店「ebookjapan」です。もう一つは、紙の本をオンラインで販売する「BOOKFAN」という事業をおこなっています。今は紙の本と電子の本の両方を買う人が増えていて、電子書籍の市場規模は2500億~3000億、毎年115%くらいの成長率で伸びています。本を読む人が段々と紙から電子に流れてきている今、そこをメインでやっている我々としてはしっかりシェアをとっていきたいと頑張っています。

— 電子書店「ebookjapan」ではたくさんの特集を組んで作品を紹介していらっしゃいますよね。

マンガや本は好みが分かれるので、どんなお客様が来ていただいても自分の好みや特集に出会えるような「本との出会い」を大切にしています。今の時代のようなテクノロジーが進む社会であるからこそ「人肌感」の重要性も見直されていますので、そういった最新の技術と人の温かみの両方を盛り込んだ書店のサービスを提供していきたいです。ちょうどこの春からヤフーの電子書店と当社の電子書店が統合され、グループ全体でより良いサービスにしようとしています。ヤフーには「Yahoo!ショッピング」や「ヤフオク!」といった大きなサービスがありますが、今後は動画や電子書籍などのコンテンツ系のサービスも力を入れていく領域のひとつになっています。たくさんの会員基盤があるヤフーの経済圏で色々なサービスを使ってもらえるように充実させていく方針です。

— 最初は取引先を説得するのに時間がかかったりしたのでは?

そうですね。最初は門前払いみたいな感じですよね。やはり紙の文化の中でやっていますから、許可は出さないという時代は長かったですね。出版業界全体で見ると今は苦境の時期で、本屋さんもどんどん減ってしまっています。けれども、電子書籍なら新しい流通の在り方を作っていけるんじゃないかなと思います。魅力のある業界だと書き手が増えて、読者も増える、というふうに良い方向に回っていくと思うんです。先週末は「三国志」の全60冊を、3日間限定で「全部読んでいいですよ」という企画をやりました。三国志は随分昔のマンガですが、今でも動きのある作品です。こうしたキャンペーンをするとその作品にもう一回スポットライトが当たります。そういうお手伝いを我々はさせていただいているのかなと思います。その他にもebookjapanでは、手塚治虫先生が「これを読んで参考にしてマンガを描いた」という作品や、戦前の作品なども丁寧に電子化して販売しています。それで儲かるかどうかは別の話ですけれど、紙の絵や文字として形となった当時の人たちの考えを後世に残していくということも行っています。

電子書籍、みんなはどう使ってる?

— 具体的な電子書籍の活用法について教えてください。

出張や移動が多い方には、電子書籍はとても便利だと思います。鞄の中に本を何冊も入れるのは大変ですが、電子書籍なら何千冊でもこの中に入れることができます。
髙橋今はスマホでアプリを入れるだけで読める電子書籍が非常に多いです。ebookjapanもそうですし、インストールさえすればすぐに沢山の作品が読めるという点で、最初のハードルはとても低いと思います。弊社のサービスは特に無料で読める本が多いので、わざわざお金を払ってでなくても、まずは自分が面白いなと思うマンガとの出会いを楽しんでいただきたいです。その中で気になったものがあれば続きを読んでみていただけたらなと。無料で沢山読めるという点をぜひ活用してください。

今、無料のサービスが増えていて、ebookjapanでも現在常時2000冊くらいは無料で読めるものがあります。ですので、手軽に見られる環境は整ってきていますね。読者の裾野も広がってきています。

— 女性はどのようなジャンルの本をよく読んでいますか?

女性もののコミックはやはり多いです。映画やドラマなどの映像化に相まってという形でもすごく注目を浴びます。もっと細かいジャンルがありますが、ちょっとこのメンバーだと分からないかもしれないです(笑)すごく奥深い世界ですから。電子書籍は個人の趣味のものが買いやすく、その結果自分のプライベート本棚ができます。またマンガだけでなく医学書のような学術書や、絵本、ビジネス書、小説、写真集、雑誌など、幅広くあります。

サバゲー、ボルダリング、社内通貨ebitコイン

— 社内コミュニケーション活性化に関する取り組みについて教えてください。

安達部活動に関しては、活動を沢山してほしいという思いがあったので「3人集まれば部活動として認める」や「実際に活動した時だけ報告をすれば良い」などハードルを下げて、みんなにどんどん参加してもらえるよう心がけました。
部活動の発足は、社内コミュニケーションツールの「slack」で呼びかけをするとパッと集まって、申請したらすぐ承認、みたいな流れです。
安達あとはそのslackの中で、みんなの集合写真をアップするなどで、活動状況を報告してもらっています。他の部活が何してるのかな?と見るのも楽しいですし、会話のきっかけにもなります。部活動の種類は沢山あって、サバゲ―部、ボードゲーム部、宝塚鑑賞部、ボルダリング部など、、、業務で携わらない人とも一緒に活動ができるので、仕事で頭がいっぱいいっぱいになり過ぎないことも良いかなと思っています。

— 部活動以外の取り組みはいかがですか?

ebit(エビット)コインという社内通貨があって、元々は僕がやりたいと言ってできました(笑)何かのお礼に「ありがとう」があったら良いかなと思って、社内でしか流通しない通貨を作りました。例えば、月間MVPの人を決めて表彰するということをやっているのですが、受賞したらコインがもらえるとか、部活動に参加するともらえるとか。そういうみんなの活動に積極的に手を挙げて参加してくれた人や、何か良いことをした人がコインをもらえて、それをオフィスファミマでの購入に使えるなどの仕組みにしています。
安達あとは、「ありがとう」の気持ちを積極的に伝えるツールとして「サンクスカード」というものも用意しています。それを書いて渡すと、もらった人もあげた人もコインがもらえるという仕組みです。
半期のMVPだと100枚くらいコインがもらえます。1枚100円分くらいの価値なので、10000円分くらいのお買い物ができます。カップラーメン買い放題。

— MVPはどういった基準で選ばれるのですか?

高橋僕も何度かMVPをとったことがあるのですが、社内に「バリュー」という会社で大切にする行動指針みたいなものがいくつかあって、それに該当するような人がMVPになります。みんなで表彰してたたえ合うという形ですね。それが月に1回あります。
趣旨としては、会社やみんなのために頑張ってくれている人たちがいるので、しっかりみんなの前で共有し、見えるようにしたいということがあります。こういうのがうちの会社の目指しているものだよね、または仕事のやり方だよね、というのをちゃんと全社で共有できるといいなと思います。
高橋あとは、他の人がどういう活動をして、どういう表彰をされているのかが見えることが良いなと思います。そういうのを見て自分も頑張ろうと思ったり、こういう人が頑張っているんだ、というのが分かったりするのも良いところです。
安達MVPをもらったりするとすごく驚きますが、自分や一緒にやっているメンバーの仕事をほとんど知らない人がすれ違い際に声をかけてくれたり、労いの言葉をもらったりします。その逆ももちろんあって、そういうことが出来るのが嬉しいなと思います。

日本の豊かな出版文化で世界中の人を幸せに

— これから挑戦したいことを教えてください。

高橋マンガの素晴らしさをもっと広げていきたいです。日本でマンガを読んだことがない人って、いないと思うんです。それくらいマンガに親しみがありますし、人の人生に影響を与える力を持っていると思います。電子書籍は、今はスマホで簡単に読める時代になりました。電子書籍を使ったことがないという方にも、お客様自身がどういうマンガが好きで、どういうマンガだと楽しめるかという興味関心に合った作品をちゃんと我々がレコメンドすることで、今までに出会わなかった作品との出会いを作っていきたいです。きっと出版社さんを含めたマンガの業界も、もっと広がるのではないかなと思っています。
安達私は人事総務に携わる仕事をしているので直接的に電子書籍に関わりはないのですが、合宿をやりたいです。先日コーポレート本部だけで合宿をしました。実現するまでは長いスパンをかけて、一泊二日の合宿まで漕ぎつけました。良かったなと思うことは、回数を重ねる度に距離が近くなり、仕事だけでは分からなかったその人の考え方や、仕事に対する姿勢などが分かるようになったことです。それを他の本部にも輸出できたら良いななと思っています。また、非日常的なところに行くことで、新しい仕事のアイディアなども出るのではないかとも思います。
日本は表現の自由という意味で、多様性に富んだ懐の深い出版文化を持っている国です。その文化を国内はもちろん、海外の方にも作品との出会いを通してお伝えしていきたいです。そこから感動や勇気、仕事や勉強へのインスピレーションに繋がるきっかけなどが生まれたらなと思います。また、江戸時代のこの辺りの地域は、まさに文化の中心地であった場所です。そういう場所にせっかく引っ越してきたので、広く深く、出版の領域でできることをお届けしたいです。素敵な本との出会いは人生を豊かにしてくれます。良い出会いを演出していければ、これに勝る喜びはありません。

辻様、安達様、高橋様、広報の村上様、快く取材に応じてくださって、本当にありがとうございましたピヨ!

株式会社イーブックイニシアティブジャパン
取材日:2019年3月26日