お金の流れで世界が変わる お金に意思をもたせよう Vol.2

どこにいってる?私のお金。

私たちのお金と社会問題。一見、何のつながりもないように感じますが、一体どういうことなのでしょうか?
私たちにとって身近な銀行に預けたお金でイメージしてみましょう。

銀行は、個人や会社から預けられたお金を、人や会社、大きなプロジェクトなどに貸し出したりをしています。
つまり、私たちのお金は、銀行を通して社会をめぐっているのです。

そのお金の貸出先に、環境や社会に悪影響を及ぼす会社やプロジェクトが含まれる場合があります。
例えば、現在ベトナムのバンフォンという地区で、新たな石炭火力発電所の建設計画が立てられています。
石炭火力発電事業は多くの二酸化炭素を排出するため、異常気象を引き起こす気候変動の要因の一つだと言われています。
また、今回の建設による、地域住民への健康被害の危険性も懸念されています。

しかしこの計画に、日本のメガバンクはお金を貸し出すことを決定しました(2019年4月現在)。
これは、私たちがメガバンクに預けたお金の一部がこのような事業に流れ、環境を悪化させたり現地住民の方々を苦しめたり
してしまう可能性があるということです。
一方で、環境や社会に配慮してお金を貸し出す銀行もあります。
1980年にオランダで設立されたトリオドス銀行は、人々や環境に有益なものに限定して融資を実施する銀行です。
現在はヨーロッパ6か国に展開し、70万を超える顧客をかかえるほど拡大しています。

この銀行の大きな特徴は、ウェブサイトで貸出先を公開していることです。
「Know where your money goes」というページで表示されるテーマと世界地図上のマークをクリックすると、例えば、タイの有機農業を営む会社の取り組みや、ネパールの水力発電プロジェクトとその背景などを詳しく知ることができます。
預金をする人にとっては、自分の預けたお金がどこでどのように役に立っているのかを実感できると、ワクワクするし嬉しいですよね!

自分の預けたお金がどのように使われているか、皆さんも気になりませんか?
そして、そのお金がどのように使われていると嬉しいでしょうか?
残念ながら、現在トリオドス銀行のような銀行はまだ日本にはありません。
ですが、自分のお金を社会に役立つ活動や企業に使ってもらう方法は、日本にもあるのです。
銀行預金ではありませんが、お金の流れが分かりやすく公開されているいくつかの例を、次号でご紹介したいと思います!


A SEED JAPAN 田川道子さん
信託銀行で勤務時、金融の社会性に興味を持ち大学院に入学。地球環境学研究科にて環境金融論を専攻。卒業後、運用会社で働く傍ら国際青年環境NGO、A SEED JAPAN エコ貯金プロジェクトに参画。個人向けの資産形成や金融の社会的意義について分かりやすく伝える活動もしている。2016年より同団体の理事に就任。
趣味:トレッキング、絵を描くこと、旅行。

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